(2) 駐車場での出来事

晴れた日の休日のスポーツイベントと重なった午後ともなると、家族連れなどで混雑する。郊外に位置する施設だから、利用者のほとんどは自家用車で訪れる。駐車場は、満杯になり、停めてはならない場所に停めたり、健常者が障害者専用スペースに停めたりするのはいつものことで目に余る。

 

 

 

そんな、とある日曜日の午後、エンジンを止めて駐車スペースが空くのを待って15分ほど経過し、ようやく、数メートル後ろに1台分の駐車スペースが空いたので、エンジンをかけてバックでそのスペースに入れかけた時、事故は起きた。プールでよく見かけるおばあさんの運転する車が、こちらを制するようにかなりのスピードで駐車スペースに頭から突っ込んだのである。しかも、隣の車のバンパーにゴツンと衝突し、切り返しでバックする際にバンパー同士が弾き合う大きな音がし、もう一度、突っ込んで今度は隣の車のドアを擦りながら停めたのである。おばあさんは、それから5分以上車から出てこなかったが、何食わぬ顔でプールに向かったのである。駐車スペースが空くまで順番を待っていた正当な権利者であるこちらを差し置いて、挙句に車を衝突させて、強引に駐車し、普通にプールを利用するとは、どんな心境だったか。こちらは、ざまあ見ろを通り越し、おばあさんが哀れになった。人としての最低な見苦しい一面をさらけ出し、その一部始終を他人に完全に目撃されたおばあさんは、その後プールで一度も出会うことはなかった。公共の場とは、そういうものなのである。